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派遣教師~月収8万円?!(その1)~




 以前、
『サイレントプア~月収5万円の高校教師~』
という記事を書きました。

 この時は、
貧困問題の方にスポットを当てていたのですが、
学校現場での派遣教師が、社会問題になっています。

 1999年の派遣法の改正によって、
学校現場への、教師の派遣が法律で認められました。

 小生が高校生だった30年前にも、
学校には、非常勤講師の先生がいました。

 では、『非常勤講師』『派遣教師』は、どう違うのでしょうか?


  そこで今回は、『派遣教師(その1)』
について、考えてみました。








【結婚したい異性の職業でも、ランクインする職種だが・・・】




教師はパイロットに並ぶ安定イメージ?!(女性が選ぶ男性の職業)


 上の図は、『結婚したい異性の職業』というサイトで、
女性が選ぶ『結婚したい男性の職業(2012年)』のランキングだ。

 TOP3は公務員、医師、商社系だが、『教師』もパイロットに並ぶほどの人気があるようだ。

 だが、パイロットであっても、某大手航空会社の再建問題など、
以前ほど、安定したイメージではないのかもしれない。


 ちなみに、男性が選ぶ『結婚したい女性の職業(2012年)』は、以下の図にある。
 どうやら男女共に、『教師』という職業は、『安定!』
というイメージがあのだろうか。




女性の職業としても、イメージは悪くない?!(男性が選ぶ女性の職業)




【教育現場でも、教える側に格差が?!】




正社員の壁・・・
*画像はイメージです



 ところが、教育の現場でも、正規雇用と非正規雇用には、大きな格差があるようだ。

*専任教師・・・正規雇用(いわゆる正社員の教師)
 まず最初に、『専任教師』とは、学校から正規に雇われている先生の事だ。
 健康保険も年金も、サラリーマンの厚生年金より恵まれているといわれている、
共済組合。
 例えば、リタイア後の年金の平均支給月額は、教員OBで24万3千円。
 これは、都道府県の職員の平均22万5千円と比べても、1割近く高い。
 また、財務省の調べでは、モデルケースとして、
1941年生まれの校長経験者(勤続38年)の年金額は、
26万3千円。
 実は、同じ年齢の中央省庁の次官経験者(勤続35年、24万6千円)よりも、
高いのだ。

 以前、夫婦共に学校の先生で、2人とも校長先生まで出世した人は、
『夫婦の年金が(2人合わせて)月額50万円!』
という話を聞いたことがあったが、どうやらコレは、本当らしい。



*非常勤講師・・・非正規雇用
 学校が募集を行い、直接雇用する。
 専任教師に比べて、非正規雇用のため、不安定だ。
 厚生年金や健康保険(協会けんぽ)への加入も、
一定の労働条件を満たせば、可能なのだが・・・。

 人によっては、国民年金や国民健康保険に加入しているケースも、あるらしい。
 これらは、
採用する側の学校(私立のケース)や、
自治体(公立学校のケース)によって、
バラツキがあるようだ。
 その実態は、専任教師に比べると、厳しいらしい。



*派遣教師・・・非正規雇用
 派遣会社が募集し、面接を行い、派遣教師として登録する。
 待遇面では、非常勤講師よりも、厳しいらしい。

 学校からの依頼があれば、コマ単位(授業単位)で出向き、生徒に教える。
 報酬も、『コマ給』と呼ばれる、
授業単位での時給制のようなものだ。
 いわゆる、派遣のアルバイトのようなイメージだろうか。
 健康保険や年金は、他のアルバイト同様に、
国民健康保険や国民年金に、自ら加入するケースが多いようだ。



 少子化の影響により、教員の採用試験は狭き門のようで、
非常勤講師だけでなく、こうした派遣教師は、増えているという。

 例えば、採用試験にパスして、無事に学校に専任(正社員)として就職し、
同じ専任の教師(正社員)のパートナーと結婚したとする。
 その後、地道に出世し、定年まで勤めあげたとして、
2人共に校長先生まで行けば、年金50万円(月額)も夢ではない!

 だが、そうしたコースに乗れなかったケースでは、待っているのは・・・。

 もちろん、専任の教師たちであっても、
今後も同様の年金制度が続く!という保証は、どこにもないのだが・・・。


 こうした派遣教師は、主に採用試験をパスできなかった20代に多いらしいが、
最近では、30代や40代の派遣教師も、増えているという。


 同じ不安定な雇用でも、
『非常勤講師』『派遣教師』の主な違いは、
採用に関して、学校側が面接や雇用契約を行っていないのが、
『派遣教師』だ。

 文字通り、『電話1本で先生を・・・』というのが、
どうやら、『派遣教師』の位置づけらしい。

 つまり、同じ教壇に立って授業をする教師であっても、
専任教師 > 非常勤講師 > 派遣教師という格差があるわけだ。




【派遣教師の実態?!】




生徒には、知られたくない・・・
*画像はイメージです




*ケース1・・・理科教師(49歳)
『職員会議などには、出席しません。
 授業がある日だけ、学校に来て、終われば帰ります。
 今は、週に3日の出勤で、9コマ(9回の授業を)教えています。
 収入は、月に約8万円ですね』

 
 こうした教師が、クラスの担任になったり、
部活動の顧問や、職員会議に出席する場合は、
授業とは別に手当が発生する。
 このため、学校側が授業以外に参加を要請するケースは、少ないらしい。



*ケース2・・・英語教師(30代)
『専任(正規)、非常勤(非正規)、共に受けたんですが、
20校くらい、採用試験に落ちました。

 生徒には、(バイト先生である事を)内緒にしています。
 生徒に、バイトだと思われたくないですから。
 派遣だった知られたら、(バカにして)授業をまともに受けない生徒も、
たぶん出てくると思います』

 


*ケース3・・・英語教師(46歳)
『私は、週に4日、派遣教師をやっています。
 他の3日は、別のアルバイトをしています。
 月収は、(派遣教師とアルバイトを合わせて)16万円くらいですね。
 最近は、1年契約が多いかな。
 専任(正規)、非常勤(非正規)の募集も、たまにあるのですが、
多くの人が応募するらしく、競争率は高いです。
 ネットでマメに探していますが、募集があっても、なかなか決まりません』


 彼はそう言って、
1割引!、2割引!と表示された、夕方のスーパーの見切り品を、電子レンジに入れた。

『これが夕食です。
 今は収入が少ないので、節約しないと・・・』




 以上の事から、今回は、
『派遣教師(その1)』でした。

 昔は、先生といえば、
若い頃は給料が安くても、老後は安泰!と言われた職業でした。

 そういえば、小生が高校生の頃、
新卒の女性教師(専任)に聞いたところ、
『先生は給料が安い!っていうイメージがあるけど、
そんな事もないのよ。
 男女の差が無いから、同じ大学を出た、OLの娘たちより、
私の方が貰っているの』

と言ってました。

 現在でも、こういう教師はいるのかもしれませんが、
その実態には、格差があるようです。




 こうした『派遣教師』の問題を、学校側はどう考えているのでしょうか?
 関係省庁は、どう考えているのでしょうか?


 次回は、『派遣教師(その2)』です。



 <すすきタルン>


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