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子供の貧困(後編)~何で生んだの?~




 前回は『子供の貧困~6人に1人の現実~』でした。

 厚労省によれば、『就学援助』を必要とする子供は、
平成7年から平成9年までは、
およそ80万人程度で推移していたようです。
 ところが、平成23年は156万人!
 その数は、およそ倍です。
 これは、全国の子供の、6人に1人の割合だとか・・・。


 そこで今回は、
『子供の貧困~後編~』についてです。









【スクールソーシャルワーカー】




同じ目線で、一緒になって考えてくれる人がいた・・・


 17歳のE子さんは、両親が離婚し、妹と弟、母親との4人暮らし。

 母親の収入は16万円で、生活はギリギリだ。

『お金の事が心配で、すごい不安になって・・・。
 生きていけるのか?やっていけるのか?』


 お金が無いから、友人からの誘いも断る。
 次第にE子さんは周囲から孤立し、不登校になった。

 ある時、彼女は母親に、メールを送る。
『何で生んだの?
生まれてきたくなかった・・・』


 そんな彼女を救ったのは、スクールソーシャルワーカーの女性だ。

 臨床心理士の資格も持つ、スクールソーシャルワーカーは、
E子さんと同じ目線で、向き合った。

 担当者である、スクールソーシャルワーカーは言う。
『答えが出ないような問題でも、一緒になって考えて、悩みました』

『家族以外で、自分の事を話したのは初めてです。
 こんなに気にしてくれるとは、思わなかった。
 今は、支えになっています』


 スクールソーシャルワーカーに心を開いたE子さんは、
行政が運営する『学習教室』に、通うようになったという。

『今まで考えられなかった将来の事とか、将来、良い事あるよっ!って言われて・・・。
 そうかな?とか思えるようになりました』


 E子さんは、学習教室のスタッフから説明を受けて、
奨学金制度の存在なども知り、将来は、大学への進学も考えているという。



【学習教室】




無料で勉強を教えてくれる場所・・・


 両親が離婚し、母親と弟の3人で暮らすF君は、中学3年生だ。

 朝9時から夕方5時まで、パートで働く母親の月収は、4万円。

 それだけでは足りず、生活保護を受けている。

 来春に高校受験を控えたF君は、母親に
『塾に通いたい!』と申し出た。

『他の家の子は、みんな通っているんです。
 塾で、夜10時頃まで勉強しているらしくて。
 月謝は最低でも、1万円はかかります。
 ウチには、そんな余裕が無くて・・・』


 経済的に余裕のないF君の選択は、『学習教室』だった。
『最初は、知っている人もいなくて、行きずらかったです』

 今では、休むことなく通っているという。

 F君のケースでは、さいたま市のNPO(ユースサポートネット)が行っている、
『学習教室』が支援している。

 週に2回、費用は無料だ。
 しかも、交通費も支給されるらしい。
 主に中学生を対象にしているが、高校生でも受講できるようだ。

 この『学習教室』では、
大学生のボランティア(有償)が、勉強を教えてくれる。

 教える側の大学生も、有償のボランティアなので、
塾や家庭教師などのバイトよりは安いが、
1回につき2千5百円(交通費込み)が、支払われるようだ。



 NPOの担当者は言う。

『早め早めに、支援をしなければいけません。
 (彼らが)20代、30代になってからでは、
サポートするのが、難しくなってくるからです』


 不利な環境に置かれている彼らに、近い将来、必ず必要になるであろう、
『世の中を生き抜く力』を身につけることが、その目的のようだ。


 どうやら、今の学校では、
彼らのような不利な環境に置かれている子供へのサポートが、十分ではないらしい。

 それを裏付けるかのように、教育現場の先生たちからは、こんな悲痛な声があった。

『家庭環境が複雑で、保護者となかなか連絡が取れない』

『学校が何もかも任される状態だと、教職員がパンクしてしまいます』

『我々は福祉制度に詳しくなく、適切なアドバイスが出来ません』

 

 以上の事から、今回は、
『子供の貧困~後編~』でした。

 教育の専門家によれば、
こうした貧困は、イジメや不登校の原因もなりやすいといいます。

 学校ではアドバイスやフォローが難しいようなケースのサポートを、
スクールソーシャルワーカーや、
NPOの学習教室が行っているのが、現状のようでした。


 そういえば以前、30代のホームレスの男性が言っていた言葉を、
思い出しました。
『子供のころ、勉強もスポーツも、そこそこ!だったんです。
 中の上でした。
 でも、お金のかかる話になると、もうダメなんです。
 ついていけなくて、バカにされたり、仲間外れになるんです』


 両親が離婚し、母親と2人暮らしだった男性・・・。

 しかし、彼が高校生の時、その母親が家を出て行ってしまい、
その後、連絡が取れなくなったといいいます。

 ひとりになった男性は、生活のためのアルバイトで、
就職活動もできず、生活に追われます。

 やがてアルバイトも失い、ほぼ同時に、家も失ったのだとか・・・。

 今では、母親がどこで暮らしているのか、その生死さえも、わからないそうです。



 <すすきタルン>



*スクールソーシャルワーカーとは・・・
 スクールソーシャルワークの目的は、
 すべての児童・生徒(学生)の知的、身体的、情緒的、社会的、
人格的成長、発達の援助をするための活動。
 学生においては、以上を包含し、
キャリア形成等の社会的側面を、より視野に入れる。

 これより先に導入された、スクールカウンセラーもある。
 こちらの仕事範囲は、個人における心理支援が精一杯であり、その数も不足している。
 最近では、スクールソーシャルワーカーの活動も、注目されている。



*学習教室とは・・・
 さいたま市が行っている、生活保護受給者家族への、学習支援活動のひとつ。
 学校の授業や宿題、得意科目のレベルアップ、
苦手科目の克服、定期試験や受験勉強、忘れてしまった内容の学び直し、
英検、漢検、進路や進学の相談、悩み相談や友達づくり、大学生との話など。


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