・「男はつらいよ」とは

まずは『男はつらいよ』のおさらいをしよう。『男はつらいよ』は、山田洋次監督、主演は渥美清(あつみ きよし)さん演じる「寅さん」が主人公の下町人情コメディ映画である。全48作から成り、『一人の俳優が演じたもっとも長い映画シリーズ』として、ギネス認定もされている名作中の名作だ。

以前の記事でもご紹介した通り、寅さんの何気ないセリフは名言だらけで、『名言日めくりカレンダー』にもなっている。今回は「勉強しなきゃいけない理由」と「生きていく意味」に絞ってご紹介したい。

・寅さんが語った「勉強しなきゃいけない理由」

まずは「勉強しなきゃいけない理由」について。これは第40作『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』の中で披露された名言だ。吉岡秀隆演じる、甥っ子の満男に「何のために勉強するのかな?」と問われた寅さんは、こう返している。

「人間、長い間生きてりゃいろんな事にぶつかるだろう。そんな時、俺みてえに勉強してないヤツは、振ったサイコロの出た目で決めるとか、その時の気分で決めるよりしょうがない。

ところが、勉強したヤツは自分の頭で、きちんと筋道を立てて、“はて、こういう時はどうしたらいいかな?” と考える事が出来るんだ。だからみんな大学行くんじゃないか、そうだろう」

(上記映画から書き起こし)

学がなく、フーテンとして過ごしている寅さんだからこそ言えるセリフで、「なるほど」と頷かざるを得ない。つまり「何かにぶつかったとき、それを打開するための “考える力” を養うために勉強する」と寅さんは言っているのだ。

・寅さんなりの「生きていく意味」について

次に「生きていく意味」について。こちらは第39作『男はつらいよ 寅次郎物語』の中で、同じく甥の満男に「伯父さん、人間は何のために生きてんのかな?」 と聞かれたときのセリフだ。

「何というかな、“あぁ、生まれて来て良かったな” って思う事が何べんかあるじゃない。そのために生きてんじゃねえか? そのうちお前にも、そういう時が来るよ。まあ、がんばれ」

(上記映画から書き起こし)

小難しいことは言わず、嫌なことに目を向けず、「生まれてきて良かったと思える、その一瞬のために人間は生きているんじゃないか?」という寅さん。これも明確な答えは出せないが、力強い説得力が確かにある。

・今見ても最高

先述したように、『男はつらいよ』は名作中の名作である。今見ても少しも色あせることはないから、興味がある人はぜひ一度見てもらいたい。

筆者は5年ほど前から見始めたのだが、思春期に『男はつらいよ』と出会ったら、確実に的屋になっていただろう。それくらい男としてカッコE! 新学期が始まり、「勉強する理由」と「生きていく意味」について悩める学生さんたちのヒントになれば幸いだ。

参考リンク:男はつらいよ公式サイト