【古都難読地名12選 ~京都編~】

・先斗町(京都市中京区)
【読み】ぽんとちょう
言わずと知れた花街「先斗町」。漢字だけは見たことがある! という人も多いだろう。

しかしいざ読むとなると、せんとちょう? ……と。知っていなければ、なかなか「ぽん」とは読めないのではないか。一説にはポルトガル語から来ているともいわれている。

・深泥池(京都市北区)

【読み】みぞろ(が)いけ
「みどろ(が)いけ」とも呼ばれる。京都市の北に位置する池。貴重な生き物がいる場所として注目が高い。また異界に近い場所と考えられているようで、幽霊が出るといった都市伝説が絶えないほか、鬼にまつわる話もあるなど京都では有名な怪異スポットでもある。

・帷子ノ辻(京都市右京区)

【読み】かたびらのつじ
これをどうすれば「かたびら」と読めるのか謎である。東映太秦映画村の近くの辻だ。

嵯峨天皇の皇后・壇林皇后はとても美しい人だったようで、皇后が亡くなる際、自分に思いを寄せる男たちに諸行無常を感じてもらおうと野に死体を捨てるよう指示。腐り、獣に食べられる姿を見て男たちは改心したと言われており、皇后が遺体をさらしたのがこの辺りだと言われている。

・艮町(京都市下京区)

【読み】うしとらちょう
こちらもなかなかにして難しい。東本願寺の西側エリアだが、「うしとら(丑寅)」と言えば方角的に北東。東本願寺のお隣、西本願寺から見てつけられた地名なのかもしれない。

・物集女町(向日市)

【読み】もずめちょう
「ものあつめ……おんな?」と読んでしまいそうになるが、「もずめ」と読む。古くは、この辺りに物集氏という豪族が住んでいたことからその名がついたよう。河内国(大阪府)の百舌鳥(もず)と呼ばれる地方から来た豪族だったため、その名が付いたとも。

・一口(久世郡)

【読み】いもあらい
読めない。これは絶対読めない。どう見てもこれは「ひとくち」だろう。これのどこをどうすれば「いもあらい」と読めるのだろうか。全くどこからもイモ臭がしてこない。

地名の由来については、昔この辺りに存在した「巨椋池(おぐらいけ)」の入口が一口のみの一か所であったことから、そう呼ばれるようになったとか、池には大小無数の島洲があって「芋を洗う」ような景観であったことから呼ばれるようになったとか、いくつもの説がある。

次はお隣、奈良県を見てみよう!

【古都難読地名12選 ~奈良編~】

・京終(奈良市)
【読み】きょうばて
これはまあ、読みやすい。平城京の外京、南端に位置していたところから京の端っこ、終わりの位置という意味で使われていると言われている。

・不審ヶ辻子町(奈良市)

【読み】ふしがづしちょう
少々読み辛いが、これもまだ読みやすいほうだろう。猿沢池方面から、奈良ホテルへの抜け道になっている細い辻だ。昔、この辺りに出た鬼が辻で姿を消したと伝わっているが、夜歩くと薄暗くて本当に何か出そうな雰囲気。一人で歩くときはお気をつけあれ。
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・上(高市郡)

【読み】かむら
これは読めそうで……読めない。「ら」がミソだ。かみ?  かむ?  ここまでは読めそうだが、まさか「ら」がつくとは。棚田で有名で、秋になるとカメラマンたちが集う撮影スポットでもある。

・蛇穴(御所市)

【読み】さらぎ
こちらはもう「へびあな」としか読めない。初見で読めた人は天才だ。蛇がとぐろをまいて穴を作る状態をサラキというからだとか、由来にはいろいろな説がある。ワラで作った蛇体に味噌汁をかける奇祭・汁かけ祭が有名で、蛇とは切っても切れない深い縁を持つ地域だ。

・生琉里町(奈良市)

【読み】ふるさとちょう
いるさと、いくるり……? 「ふ」と読むのが難しいのではないか。「瑠璃色」と言えば美しい青を表現する際に使う言葉だが、まさしくそんな美しいものが生まれそうな穏やかな街だ。

・忍辱山町(奈良市)

【読み】にんにくせんちょう
最後はこちら。「にんにくせんちょう」! なんと強烈な地名だろうか。誰もが食べ物の大蒜(ニンニク)を想像するだろうが「忍辱」は仏教的な意味で、大蒜とは関係ない。運慶作の大日如来坐像(国宝)で有名な同町の円成寺も、山号は忍辱山だ!

──以上である! 京都6カ所、奈良6カ所の計12カ所に絞って紹介した。ここに挙げている地名を読めるようになるだけでも、かなりの京都・奈良マニアに認定されることは間違いないが、両県にはまだまだたくさの難読地名がある。ぜひ自分の足で歩いて確かめてみてほしい。