「草食系」という言葉が使われるようになって久しい。恋愛に消極的なことを指す言葉なのだが、かねてからオッサンの私(佐藤)が思っていることがある。昔と比べて今は恋愛の敷居がめちゃくちゃ低い。なのになぜ、消極的なのか?
最近はスマホアプリでダイレクトに相手とやり取りできる。LINEやFacebook、Twitterを駆使すれば、直接デートに誘うことだってできるというのに。昔は相手を誘い出すのに、いくつもの壁が存在していた。そのなかでももっとも手ごわいのが、好きな子のオヤジの存在だ。
「草食系」という言葉が使われるようになって久しい。恋愛に消極的なことを指す言葉なのだが、かねてからオッサンの私(佐藤)が思っていることがある。昔と比べて今は恋愛の敷居がめちゃくちゃ低い。なのになぜ、消極的なのか?
最近はスマホアプリでダイレクトに相手とやり取りできる。LINEやFacebook、Twitterを駆使すれば、直接デートに誘うことだってできるというのに。昔は相手を誘い出すのに、いくつもの壁が存在していた。そのなかでももっとも手ごわいのが、好きな子のオヤジの存在だ。
なぜ恋愛にオヤジが出てくるのか? そう思う若い人もいるかもしれない。その説明をする前に、スマホがなかった時代にどうやって相手を誘い出すのか、そのことから説明しなければならないだろう。
同級生を好きになったら、ダイレクトに「遊びに行こう」と誘えばいいと思うかもしれない。しかし思春期の男女にとって、人目につくような場所で誘うのは大変に恥ずかしいことだ。クラスでそんな話でもすれば「ヒューヒュー」と冷やしの餌食に合うに決まっている。そこで個別に連絡を取る方法を模索することになる。
取りうる術は限られている。「話す」か「手紙を渡す」か「家に電話をする」だ。先に挙げたとおり、話すのは恥ずかしいので、この選択肢はナシだ。次に手紙を渡すだが、これまたリスクが高い。話すことも恥ずかしいというのに、手紙を渡すという行為はさらに難易度が高くなる。せいぜい下駄箱に入れておくくらいしかないのだが、相手がいつ受け取り、いつ読んでくれるかわからない。その間の心もとなさと言ったらハンパではない。
時間差なく相手の意思をうかがい知る方法として、最良なのが電話である。電話であれば、対面で話す気恥ずかしさをある程度、軽減できるうえにクラスのさらし者にならずに済む。また手紙のようなタイムラグもないので、これまで挙げてきたリスクをすべてクリアできるのである。しかし!
これまでにない最大のリスクを伴うことになる。それがオヤジの存在だ。相手の家に電話をすると、必ず思いを寄せるアノ子が出てくるとは限らない。家族がいる。家族のなかにはオヤジも含まれている訳である。お母さんが出てくるときはまだいい。どういう訳か、女親というのは娘の恋愛に寛容であるケースが多い。
だが男親はダメだ。娘の動向に目を光らせている場合が多いのである。したがって、以下のような会話になってしまう。
自分 「もしもし、○○子さんはいらっしゃいますか?」
オヤジ 「○○子は今おらん。あんた誰だ?」
自分 「同級生の佐藤と言います」
オヤジ 「うちの娘になんかようか?」
自分 「いや、あの……。お話がしたいなと……」
オヤジ 「明日学校で話せば良かろう」
自分 「はい、そうします……」
この間、緊張のあまり常に声が震えているのは言うまでもない。おどおどした声で話していても、オヤジさんは苛立つばかり。ただでさえ鉄壁の守りはさらに堅牢になり、打ち崩すことは難しくなる。しかも、厄介なのは翌日だ。
○○子 「佐藤くん、昨日うちに電話したの?」
自分 「うん、あの、話たくて……」
○○子 「もう電話しないで、私がお父さんに怒られるから」
自分 「すみません……」
お分かり頂けるだろうか? 風雲オヤジ城は難攻不落! 落とすすべなど10代の学生に思いつくはずがないのである。その壁を乗り越えて、相手とアポを取ることがどれだけ難しいか。今はいい、ダイレクトに相手に連絡を取ることができる。たとえ「既読スルー」でも確実に相手に意志が届くのだ。
多少のことでへこたれている若者たちよ。特に男子諸君、昔よりもはるかに恋愛は楽になったと、お伝えしておこう。既読スルーでも挫けるな……。
以下読者のみなさまの反応
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